メタネイチャーとは
充分に技術が発達した社会では人工物といえどもそれは「自然」であると見做せます。人為と自然を共に自然と認識することで我々の自然に対する態度や考え方が変わり、新しい自然観を育むことが可能になります。さらにその自然観を持った人間の集団によって新しいスタイルの社会が産まれることが予見できます。特に人工知能が様々な層で実用化された社会は、大きく変化することは誰もが予想できることです。つまり技術の発達により新しい都市生活が定義され、自然環境が質的に拡張され、人工知能の存在が当然となることで、人間は内外両面に於いて新しい環境に対応して、その中で生活しなければならなくなります。我々はこれをメタネイチャーと呼んでいます。
たとえば、鉄道会社全体が自動的に動いている様子をイメージして欲しい。各列車が自動運転されるのはもちろん、ダイヤを作成し、駅を運用し、事故に対応し、おそらくは列車の運行に必要な電力も自前で自動生産し、車両とその部品を作る工場すら自動で運用するかもしれない。
そのような状態を、筆者らは「メタ・ネイチャー」(自動化によって生じる新たな自然環境)と呼んでいる。メタ・ネイチャーは、社会機能の自動化が拡大することを通して、「鉛筆1本でさえ何人もが関わり分業で生産する」ような社会環境に代わり、言わば「鉛筆が果実のように木に生(な)る」といった新しい自然環境が出現することを意味する。自然が人間にとって自動で動いているように、人工システムの自動化が極限まで進むと、人工の自動システムも人間にとって自然のような対象に変わる。